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銚子が滝というのは、母成峠の戦いで新選組が布陣した勝岩の麓にある滝です。つまりあの日の戦いで斎藤たちはこの辺りを守っていたのです。こうしてわざわざ矢印まであるのに行かないわけにはいかないじゃあないですか。看板にはおよそ 2km と書いてあったので、楽勝だよと言いながら山道を登りはじめました。が、これが結構(てゆーか、死人がでてもおかしくないくらい)しんどい。前日の雨で山道がぬかるんでいるのと、暑さのせいもあって、何個目かの分岐点についたときには既にぐったり。
いよいよ残り 300m、銚子が滝とさりげなく書いた矢印の先を見て絶句。樹木が生い茂り、岩がゴツゴツした 険しい山道(てゆーか、ほとんど崖)に 太い鎖が巡らしてあるんです。そっ、それに掴まって降りろというのか? 会津おそるべし。しかし、ここで引き返すのはあまりにも口惜しいので、一息ついてから下りはじめました。二本松史の「猿しか登れない崖を」というのを思い出しつつ・・・。
最後の300mは 距離としての移動ではなく、高さの300mだった気がする。何度もすっ転びそうになりつつ ちびちびと、時には大胆にジャンプ(足を踏み外したとうも言う)なんかして、下っていく。エアを履いていても足が痛いのに、一たちはきっとわらじみたいなものを履いていただろうに(本当か…)よくもまあ と感心してしまった私です。
泣けるほどの苦労の末に辿り着いた滝は、そりゃあもう素晴らしい眺めでした。が、ある事に気付いた私は一気にブルーになる。勝岩はこの滝の上の辺りだから、ここまで降りてくる事なかったのでは・・・。でも、斎藤一もきっとこの滝を眺めたに違いないとか思って自分をなぐさめることにする。
まわりを見渡すと、まさに猿しか登れない断崖絶壁ばかり。冷たく湿った空気を気持ちいいと感じながら、一瞬後に鳥肌がたった。斎藤はこんな感じの崖をよじ登ったんだろうか、背中を敵に狙い撃ちされながら。よく無事だったものだと、本当に今更ながら寒気がしてしまった。