斎藤さんの肖像画がある白虎隊記念館の2階。鎖帷子もここにありました。 もともと展示されていた鎖帷子は3点。これらはきちんとハンガーに掛けて見やすくされていました。ただし、新選組隊士の物というだけで誰が着用したかは表示されていませんでした。そして肝心の一さんの物は肖像画の下・展示されている鎖帷子の後ろにありました。展示物はすべてショーケースの中にあります。しかし、史料が多すぎてすべてが見やすい状況にはありません。 つまり、広げた状態ではなく積み重ねて隅に寄せているといった感じです。 積み重ねられている物の多くは陣笠でした。その陣笠に挿まれるようにして一さんの鎖帷子もありました。槍さんの会津レポートを読んでいたので必ずどこかにあるはず、と思って捜したから見つかったものの何も知らずに行ってはまず見つけられなかったでしょうね。てな具合で結構ないがしろにされていた一さんの鎖帷子。 他にも2、3枚同じようにして置かれてましたけど。
さてさて、見つけただけでは飽き足らず衝動にかられるままに館長さんの元へ。 勿論挿まれた状態の鎖帷子を広げて頂く為に。はっきり言ってかなり勇気が必要でした。取り合えず最初は軽めに「あの積み重ねてある史料は見せて頂けないでしょうか?」と。その答えは「ああ、どれも一緒、一緒。展示してあるのと一緒だよ。」との事。うーん、やっぱりそう簡単には見せてもらえないかと暫く考えていると「何処から来たの?」とか「鶴ヶ城はもう見た?」とか妙にフレンドリーな会話に(^^)。楽しかったんですけどこれではいかんと思い話題を鎖帷子に。 斎藤さんの物があるという答えを期待して「これらは誰の物っていうのは解らないんですか?」とわざととぼけて聞いたのに、館長さんの答えは「もう解らん、解らん。業者から買ったりしてるからねぇ。」でした。ああいう史料って買うもんだって知りませんでした。てっきり御子孫の方からの提供とかどっかの蔵から見つかったのを寄贈とかで集まったものだとばかり思ってました。(稲葉だけか?) 実際、斎藤さんのはどうやってここに収められたのでしょうね?
しかし館長さんの様子から遠回しに聞いていては埒があかんと思い、思い切って「あの肖像画の人が着ている物が見たいんですよ。」と言ってみました。
館長さん:「ん?あの山・・・、山口次郎のですか?」(どうも館長さんは斎藤さんの事を知らないらしい)
稲葉:「はい(はぁと)。あれだと思うんですけど違いますかね。」
館長さん:「うーん、どうかねぇ。危ないね。うん、危ない、危ない。」
この’危ない’というのがいまいち良く分からなかったんですけど恐らく斎藤さんの物だと言い切ってしまう事が危ないという意味だろうと勝手に解釈しました。それとも方言で違う意味があったのだろうか?
そして、最後の一押し。
稲葉:「’写真で見る会津戦争’っていう本にあの方が着用した物だって載ってたのを見たんです。」(実際は見てないんですけど。嘘ついてすみません、館長さん。)
館長さん:「ん?」←まだ解ってない様子
稲葉:「取材に来ませんでしたか?」
館長さん:「ああ、来た、来た。あれね。うんうん。」
ここで漸く思い出して頂けたようです。これでやっと見せてもらえると思った瞬間、
館長さん:満面の笑みで「どうしても、見たい?」
さすがにこれには苦笑しました。でも素直にはい、と言うと快くショウケースの鍵を取りに行ってくれました。そして自らショーケースに入ってたくさんの史料をまたぎ(ショーケースの入口は左端に1っ個所で鎖帷子は右端だった)鎖帷子の所まで行って引きずり出して下さいました。更に失礼だとは思いながら館長さんに持って頂いた状態で写真も撮らせて頂きました。で、例のメットはと言いますと。 初めは斎藤さんの鎖帷子が埋もれていた左の笠の1番上にあって見やすかったんですけど、鎖帷子を引き出す時、館長さんがメットの上に手を置いていてその後転がっちゃったんです。ちゃんと拾いはしましたが館長さん、それが斎藤さんのだとは気付かず見やすいようにと、積んだ笠に打ちかけてくれた鎖帷子の左肩の後ろにぽんっと置かれました。そして鎖帷子の上には別のメットを置かれました。 ちょっと一さんのメットは見え難くなってしまいましたがもうこれ以上とやかく言うのは失礼だと思い言いませんでした。でも、どれも貴重な史料のはずなのにもう少し丁寧に扱わなくていいんでしょうか。素手で触ってるし(^^;)。
しかし、この館長さんにショーケースに入ってもらっている間は他のお客さんの視線が痛かった・・・。30人くらいの人が皆こっちを見るんだもの。 後で聞いた話によると新人物往来社が取材に来たのは10年程前で館長さんが館長になったのは7年前。だから取材の事は話に聞いただけでその場にはいなかったようです。ちなみに館長になる前は東京の大学で経済学を教えていたそうです。
最後に’これが斎藤さんの鎖帷子に違いない’と判断した理由を。やはり1番はボタン(と言うかあわせの部分)。これが特徴的で花の形になってます。2つ目は蛇腹(縁取り)が施されている位置。3つ目は襟の形。といったところです。
以上。終始笑顔で無理を聞いて下さった館長さんに感謝したいです。